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星野 毅; 小林 剛*; 梨本 誠*; 河村 弘; 寺井 隆幸*; 山脇 道夫*; 高橋 洋一*
Journal of the Ceramic Society of Japan, Supplement, Vol.112, No.1 (CD-ROM), p.S354 - S357, 2004/05
チタン酸リチウム(LiTiO)は、良好なトリチウム回収特性等の観点から、核融合炉ブランケット用トリチウム増殖材料として期待されている。しかし、LiTiOは不定比構造を持つため、熱物性データに影響を与えると思われるが、これまでに報告されている熱容量や熱伝導率などの測定値は、研究者により異なり確立されていない。本研究では、LiO/TiOの組成比を変化させて作成したLiTiOについて、レーザーフラッシュ法により1100Kまでの熱物性を測定し、不定比構造による熱物性への影響について比較検討を行った。LiTiOの熱伝導率は、LiO/TiO比の減少とともに不定比性化合物へと変化することや、LiTiOの第2相が生成することの影響で低下することがわかった。また、熱伝導率の温度依存性は700Kを境に、理論式から算出した値と明らかな差異が見られ、高温X線回折により格子定数の変化が熱伝導率の温度依存性に大きな影響を与えていることを解明した。
河村 弘; 菊川 明広*; 土谷 邦彦; 山田 弘一*; 中道 勝; 石塚 悦男; 榎枝 幹男; 伊藤 治彦
Fusion Engineering and Design, 69(1-4), p.263 - 267, 2003/09
被引用回数:3 パーセンタイル:25.79(Nuclear Science & Technology)JMTRにて中性子パルス運転模擬照射試験体の照射試験を行い、ITERブランケットテストモジュールを設計するうえで必要不可欠な中性子照射下のチタン酸リチウム(LiTiO)微小球充填層中の見かけの熱拡散率を調べた。定速昇温法により測定した結果、LiTiO微小球充填層の見かけの熱拡散率は、照射温度と中性子照射量の増加とともに減少することがわかった。一方、スイープガス流量の影響は、0600cm/minの間では見られなかった。
石井 敏満; 稲垣 照美*; 坂根 泰輔*; 中谷 隆彦*; 大岡 紀一; 近江 正男; 星屋 泰二
非破壊検査, 51(4), p.223 - 230, 2002/04
赤外線サーモグラフィを用いた非破壊試験法は、材料や構造物の内部欠陥を遠隔かつ非接触で検出できる一方で、欠陥の定量的検出手法の確立が急務となっている。本研究では、母材より熱拡散率の小さい人工内部欠陥を有する試験片を裏面から非定常加熱した場合に、試験片表面に生じる不規則な温度分布を赤外線カメラで測定し、その熱画像から欠陥を識別した。また、開発した解析コードによる非定常三次元熱伝導の数値解析の結果、試験片表面では内部欠陥の上部に相当する位置の温度がその周辺に比べて低温となり、その温度変化が実験結果と良好に対応することを確認した。これにより、欠陥寸法等に依存して生じる表面温度変化の定量評価の見通しを得た。さらに、同じ欠陥を有する試験片の表面では、熱拡散率が小さい母材ほど欠陥上部の位置とその周辺との温度差は大きくなり、熱拡散率と温度差の相関についても定量評価できる見通しを得た。
山田 禮司; 井川 直樹; 田口 富嗣
Advanced SiC/SiC Ceramic Composites: Developments and Applications in Energy Systems; Ceramic Transactions Vol. 144, p.289 - 299, 2002/00
SiC/SiC複合材料の熱拡散率測定の計算機シミレーションを有限要素法で行った。SiC繊維とマトリックスの熱伝導率及びSiC繊維の体積率をパラメータに、複合材料の熱拡散率の計算を200と900のケースで行った。その結果、一般のSiC繊維では繊維体積の増加とともにSiC/SiC複合材料の熱拡散率は減少するが、結晶性に優れかつ結晶粒の大きなSiC繊維の場合には減少することは無く、むしろマトリックスの熱伝導率が比較的小さい場合、SiC繊維の増加とともにより大きな値を示した。これらの傾向は、絶対値を別にすれば、200及び900において共通に見られた。
中村 仁一
最新核燃料工学; 高度化の現状と展望, p.93 - 98, 2001/06
UOペレットは燃焼度の増大とともにFPの生成と固溶、照射損傷の蓄積等により種々の熱特性、熱伝導率、比熱容量(比熱)、融点等が変化する。これらの熱特性は燃料の温度、FPガス放出、PCMI等に影響を与え、燃料挙動を支配する重要な因子である。最近の軽水炉燃料の高燃焼度化に伴い、これらペレットの熱特性の燃焼度依存性データが蓄積されつつある。本報は、最近のUOの熱特性研究の現状をまとめたもので、原研の行った高燃焼度燃料の熱拡散率測定や、比熱測定の成果を含め、熱伝導率に対する燃焼度及びリム組織生成の影響、比熱及び融点に対する燃焼度の影響等を説明している。
田口 富嗣; 井川 直樹; 山田 禮司; 二川 正敏; 實川 資朗
Ceramic Engineering and Science Proceedings (25th Annual Conference on Composites, Advanced Ceramics, Materials, and Structures: A), 22(3), p.533 - 538, 2001/03
SiC/SiC複合材料は、高温強度に優れ、低放射化の観点から核融合炉の候補材料の一つである。これまでに、BN層をコーティングした繊維を用いて、優れた破壊挙動を有する結果が報告されている。しかし核融合炉環境下では、BNは放射化の点で大きな問題となる。そこで本研究では、BN層の代わりに化学蒸気蒸着(CVD)処理によりC及び-SiCをダブルコートした繊維を用いて反応焼結法により、SiC/SiCを作製した。比較のため界面層のない無処理繊維も用いて作製した。その結果、高密度(2.7g/cm)の試料を作製できた。3点曲げ試験の結果、無処理繊維を用いた試料は脆性破壊を示した。一方、CVD処理繊維を用いた試料では、非脆性破壊挙動を示した。曲げ応力及び破壊エネルギーは、310MPa及び2.0kJ/mと高い値を示した。また、この試料の熱拡散率は、室温で0.17cm/sであった。従来法により作製された試料の熱拡散率(0.08cm/s)に比べ、とても高い値を示した。
相原 純; 石原 正博
材料, 49(10), p.1155 - 1159, 2000/10
耐熱性、強度特性に優れる炭素系複合材料は、制御棒被覆管等HTTRの炉内高温構造要素用材料として期待されるものである。炭素系複合材料の欠点は、構造設計上要求される機械的性質、熱的性質に高い異方性を示すことである。本報告は、これら要求される物性値のうち、異方性材料の熱拡散率について論じたものである。数々の熱拡散率計測法のうち、今日最も一般的な手法となりつつあるレーザーフラッシュ法について、異方性試料に対する計測法の適応性に関して解析的観点から検討した。その結果、異方性試料の熱拡散率測定にレーザーフラッシュ法を用いた場合、従来の等方性材料に対してJISで規定している熱拡散測定法の規格をそのまま適用すると、異方性の程度によっては計測誤差が30%以上生じる危険性があることを明らかにした。
荒井 康夫; 岩井 孝; 中島 邦久; 白井 理; 鈴木 康文
Proc. of the Int. Conf. on Future Nuclear Systems (GLOBAL'99)(CD-ROM), 8 Pages, 1999/00
原研における窒化物燃料サイクルに関する実験研究の最近の成果を紹介するものである。照射挙動に関しては、JMTRにおける照射試験により基礎的な燃料挙動を把握したのに引き続き、2本の(U,Pu)N燃料ピンが高速実験炉常陽で現在照射中である。約4.7%FIMAの燃焼度達成後、11年度後半からは照射後試験の開始が予定されている。高温特性に関しては、アクチニド窒化物相互の固溶体以外に、ZrNあるいはTiN等の不活性母材を含む窒化物燃料の調製条件の確立及び熱伝導度の評価等が行われた。また、新規装置を用いた熱容量及び熱膨張の測定に着手した。溶融塩電解に関しては、塩化物共晶塩中におけるNpN及びPuNの電解試験が行われ、電気化学測定により陽極溶解機構を調べるとともに固体陰極においてアクチノイド金属の回収に成功した。
中村 仁一; 内田 正明; 上塚 寛; 古田 照夫
IAEA-TECDOC-1036, 0, p.127 - 138, 1998/08
燃焼度63MWd/kgUの高燃焼度UOペレットの熱拡散率をレーザーフラッシュ法により室温から最高温度1800Kにかけて測定した。高燃焼度ペレットの熱拡散率は、未照射ペレットに比べて室温で半分以下に低下したが、両者の差は温度の上昇とともに小さくなる傾向を示した。測定最高温度を上昇させながら測定を繰り返したところ、熱拡散率は、800K~1200Kにかけて次第に上昇する傾向を示した。これは照射損傷の回復による熱拡散率の上昇であると推定される。試料間の熱拡散率のばらつきは主として試料密度の差で説明できることが明らかとなった。また、高燃焼度ペレットの熱拡散率は固溶FPを添加して化学的に高燃焼度燃料を模擬したSIMFUELに比べてやや小さかった。これはSIMFUELには含まれない照射損傷やFPガス気泡の影響と考えられる。
荒井 康夫; 中島 邦久; 鈴木 康文
Journal of Alloys and Compounds, 271-273, p.602 - 605, 1998/00
被引用回数:16 パーセンタイル:68.02(Chemistry, Physical)ネプツニウムを含む一窒化物固溶体、(U,Np)N及び(Np,Pu)Nの熱伝導度を、740-1630Kの温度範囲で測定した。試料には、炭素熱還元で調製したUN,NpN及びPuNを機械混合の後、窒素-水素混合気流中で加熱して固溶体化したものを用いた。熱伝導度は、レーザフラッシュ法で測定した熱拡散率、文献値から推定した比熱容量及び試料の形状密度から求めた。測定温度範囲において固溶体試料の熱伝導度は、UN等と同様に温度とともに漸増する温度依存性を示した。また、組成依存性についてはUN側からPuN側に向けて減少し、とりわけ(U,Np)NではUNリッチ領域、また(Np,Pu)NではNpNリッチ領域で熱伝導度が大きく減少する傾向を示した。この熱伝導度の減少は、主に電子伝導の寄与の減少によるものと推定した。
斎藤 滋; 土谷 邦彦; 河村 弘; 寺井 隆幸*; 田中 知*
Journal of Nuclear Materials, 253, p.213 - 218, 1998/00
被引用回数:62 パーセンタイル:96.77(Materials Science, Multidisciplinary)近年、リチウムタイタネイト(LiTiO)が、トリチウム放出特性等に優れることなどから、トリチウム増殖材の最有力候補材の1つとして脚光を浴び始めている。しかしながら、材料選定に不可欠な、LiTiOの熱的・機械的特性のデータは極めて乏しい。そこで本研究では、密度の異なる3種類のLiTiOペレットを製作し、熱拡散率等の熱特性を測定し、それらの密度依存性を調べた。さらに、他のセラミックトリチウム増殖材候補材(LiZrO,LiAlO,LiSiO)の熱的特性と比較・検討を行った。その結果、LiTiOは、LiZrOと同じ単斜晶系でありながら、LiZrOで観測されたような、熱拡散率の急激な減少や、ヒステリシスは認められなかった。従って、LiTiOは、LiZrOと比較して、熱サイクルによる熱特性変化が生じにくい、より良好な物質であることが明らかとなった。
松田 哲志*; 小林 愼一*; 白数 訓子; 山下 利之; 大道 敏彦; 室村 忠純
JAERI-Research 97-083, 21 Pages, 1997/11
MgAlO-SZR(SZR:安定化ジルコニア)系、並びにこれに10モル%UOを加えた焼結体を作成し、室温から1500Cまでの熱膨張率及び熱拡散率を測定した。MgAlO-SZRの熱膨張率はSZRの増加とともに増加し、Turnerの式による測定値に良く合致した。UO添加試料の熱膨張率は非添加のものより増加した。熱膨張補正を加えた熱拡散率と比熱推定値等から理論密度95%に規格化した熱伝導度を得た。MgAlO-SZRの熱伝導度は、SZR成分とともに減少し、熱伝導度値はおおよそMaxwell-Euchenの式で近似できた。UO添加試料の熱伝導度は、MgAlO相とSZR相の体積比が約50%より大きい領域ではUO自体のそれより大きな値を示した。
中村 仁一; 内田 正明; 上塚 寛; 古平 恒夫; 山原 武; 菊地 章
Proc. of Int. Topical Meeting on LWR Fuel Performance, 0, p.499 - 506, 1997/03
ハルデン炉で、燃焼度63MWd/kgUまで照射された、UOペレットの熱拡散率の測定を室温から1794Kにかけてレーザーフラッシュ法を用いて行った。高燃焼度UOの熱拡散率は、未照射UOに比べて室温で半分以下に低下していたが、その差は温度の上昇とともに減少し、両者は、約1800Kでは、ほぼ一致した。また、測定最高温度を次第に上昇させながら測定を繰り返したところ、800K-1200Kにかけて熱拡散率が次第に上昇する傾向を示した。これは照射損傷の回復にともなうものと推定された。回復後の熱拡散率は、固溶FPを加えた模擬高燃焼度燃料SIMFUELの値よりやや小さい値を示した。熱拡散率の測定値は、試料毎にばらつきを示したが、この試料間の熱拡散率の差は、試料密度の差で大部分説明できることが明らかになった。
日高 昭秀; 中村 仁一; 杉本 純
Nucl. Eng. Des., 168(1-3), p.361 - 371, 1997/00
被引用回数:2 パーセンタイル:23.04(Nuclear Science & Technology)CEA/IPSN及びECが実施したPHEBUS FPTO試験の最終的な燃料溶融割合は約50%に達した。現在までに実施された試験後解析は、試験後期の燃料温度を過小評価し、大規模な燃料溶融を未だ再現していない。試験で使用されたジルコニアシュラウドの熱伝導度は、原研等が測定した熱拡散率に比熱等を乗じて評価しているが、これまでの計算で使用した熱伝導度はPearsの比熱データに基づいて算出していた。しかしながら、最近の熱特性データ集は、高温でより低い値を与えるCoughlin&Kingのデータを採用している。そこで本研究では、シュラウドの熱伝導度の不確実性に着目し、IPSNが開発したICARE2コードを用いて試験結果の再現を試みた。その結果、Coughlin&Kingの比熱データを用いた場合、FPTO試験の炉心損傷過程ははぼ適切に再現された。シュラウドの熱特性が燃料溶融挙動に与える影響は大きいことから、高温域での熱特性のより詳細な再評価が望まれる。
中野 純一; 山田 禮司
Proc. of 2nd IEA/JUPITER Joint Int. Workshop on SiC/SiC Ceramic Composites for Fusion Applications, p.64 - 67, 1997/00
炭化ケイ素(SiC)は、低放射化、及び高温での優れた機械的性質を有し、原子力環境での用途が期待されている。そのため、核融合炉のブランケット及び第一壁用としてSiC複合材料のさまざまな作製法が研究されている。化学気相浸透法(CVI)により作製されたSiC/SiC複合材料がその特性評価のために国内の各研究機関に配布された。原研においては、そのSiC/SiC複合材料の室温から1350Cまでの熱拡散率をレーザーフラッシュ法により測定し、熱伝導度は熱拡散率、比熱、密度から計算した。その値は密度とともに増加した。また、試料の内部状態を調べるためにSEM観察を行い、試料内に多くの気孔が存在することが確認された。これらの気孔を減少させることができれば、熱伝導度はさらに向上すると考えられる。
荒井 康夫; 中島 邦久; 鈴木 康文
Proc. of 4th Int. Information Exchange Meeting on Actinide and Fission Product Partitioning and Transm, 0, p.347 - 357, 1997/00
ほぼ全組成領域をカバーする、ネプツニウム・プルトニウム混合窒化物固溶体を調製し、その性質を調べた。固溶体試料はそれぞれ炭素熱還元法で調製したネプツニウム窒化物とプルトニウム窒化物の混合成型体を、窒素-水素混合ガス気流中において2023Kで熱処理することにより調製した。室温でのX線回折により単相の固溶体形成を確認するとともに、格子定数の組成依存性を調べた。また、高温質量分析法による蒸気圧測定、レーザーフラッシュ法による熱拡散率測定を行い、気相中のNp(g)及びPu(g)分圧の温度依存性ならびに組成依存性や、熱拡散率から求めた固溶体試料の熱伝導度等について新しい知見を得た。
中野 純一; 藤井 貴美夫; 山田 禮司
Functionally Graded Materials 1996, 0, p.439 - 444, 1996/00
優秀な高温特性を有する黒鉛材料が原子力をはじめとするさまざまな分野において使用されている。黒鉛材料の耐酸化性改良のため、気相拡散反応により作製したSiC/C傾斜組成黒鉛材料の研究を行っている。このSiC/C傾斜組成材の耐熱サイクル特性および機械的性質については、既に報告している。SiC/C傾斜組成材の熱拡散率について、試料のSiC/C傾斜層の厚さおよびSiC濃度(mass%)を変化させて、レーザーフラッシュ法により測定を行い、SiC/C傾斜層の熱拡散率におよぼす影響を調べた。加えて、SiC/C傾斜組成材の比表面積測定を行った。測定に用いたSiC濃度の範囲内では、熱拡散率におよぼすSiC/C傾斜層の影響はほとんどみられなかった。
石塚 悦男; 河村 弘; 寺井 隆幸*; 田中 知*
Fusion Technology, 2, p.1503 - 1506, 1996/00
ブランケットの熱設計は、トリチウムリサイクリング及びインベントリ等のブランケット性能を左右する。近年、これらの観点からブランケットの定常熱分布及びパルス運転時の温度応答の計算が行われたが、使用した熱的なデータは未照射材料のものである。特にベリリウムは、中性子増倍材としてブランケットの体積の7~8割を占めるため、ベリリウムの中性子照射による照射損傷及びヘリウム生成によるスエリングが熱的特性を変化させ、ブランケットの熱設計に大きな影響を与える可能性が考えられる。このため、中性子照射したベリリウムの熱拡散率及び比熱をレーザフラッシュ法によって測定した。この結果、中性子照射したベリリウムの熱拡散率及び熱伝導率は未照射材より小さくなることが明らかとなった。また、スエリングした試料を測定した結果、熱拡散率及び熱伝導率が顕著に低下していることが明らかとなった。
中村 仁一; 古田 照夫; 助川 友英
HPR-347, 12 Pages, 1996/00
ハルデン炉で63MWd/kgUまで照射されたUOペレットの熱拡散率を室温から1800Kにかけてレーザーフラッシュ法により測定した。高燃焼度UOの室温での熱拡散率は、未照射UOの熱拡散率に較べて半分以下に低下しており、両者の差は温度の上昇とともに小さくなる傾向を示した。温度を上昇させながら測定を繰り返したところ、高燃焼度UOの熱拡散率は、800Kから1200Kにかけて次第に上昇する傾向を示した。これは照射損傷の回復によるものと推定される。また、試料間で熱拡散率のばらつきが見られたが、これはペレットのミクロ組織(試料密度、金属FP等)の影響であると推定された。測定された熱拡散率は、模擬高燃焼度燃料SIMFUELの値よりやや小さい傾向を示した。また、測定された熱拡散率から評価した熱伝導度の燃焼度による相対的な低下の割合は、ハルデン炉の燃料中心温度測定データからの評価値と良い一致を示した。
大和田 功; 西野 泰治; 山原 武; 石本 清
Proc. of 43rd Conf. on Robotics and Remote Systems 1995, 0, p.75 - 80, 1996/00
軽水炉技術の高度化計画に伴って、燃料の高燃焼度化が進められており、燃料ペレットの熱電導率は、重要な熱物性値として注目されている。原研・燃料試験施設では、レーザーフラッシュ法を用いた遮蔽型のペレット熱拡散率測定装置を開発した。熱伝導率は、測定した熱拡散率、比熱及び密度より求める。装置は試料保持部、レーザー発信器部、赤外線検出器部、ヒータ温度抑制部、真空排気部、データ処理部、生体遮蔽体、フード及び試料移送容器で構成されている。装置の性能と照射後試験への適用を確認するため、金属タンタル、アルミナ、未照射UO、未照射UO-GdO及び照射済燃料を用いて熱拡散率を測定した。その結果、高燃焼度燃料の照射後試験に十分使用できることが明らかになった。